◆ EXCLUSIVE INTERVIEW - WAVELINE
近年サンプラーやシーケンサーソフトの高性能化により、安価にトラック制作の環境を整える事が可能になりました。様々なアーティストがトラック制作に必要なサンプリングCDの楽曲素材を活用しPCやサンプラーで楽曲制作をしています。さらにインターネットの発達により制作した音源を動画配信サイトやMy
Space等の音楽コミュニティで作品を発表し、アーティスト同士新たな繋がりを見せています。今後益々、楽曲制作に対する敷居が低くなり、発表する場も増えつつあります。今回はプロ用の定番単発ドラムサンプリングCDを制作している
WAVELINE代表 yamamoto氏にインタヴューをお願いいたしました。音楽制作者やトラックメイキングをするDJには馴染みが深いサンプリングCD、数多くのタイトルが国内外で発売されていますが、その中でもドラムのサンプリングに特化して制作されている理由とこだわりをお伺いしました。 |
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WAVELINEの各シリーズが大幅にバージョンアップされています、以前の作品からどのように変更されたか教えてください。 |
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新しいサンプルが大量に追加されました。スタンダードなアコースティック系ドラムをはじめ、以前から定評を頂いているテクノ、ハウスなどのエレクトロニック系、ダンスミュージック系ドラムやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック系ドラム、また新しくファンク、ジャズ、ロック、ポップス系のドラムなど、様々なジャンルのドラムサンプルが大量に追加されています。 ローファイ系ドラムシリーズではあらためて様々な機材やセッティングを試して、徹底的に音色の質感や音圧感を検証し厳選を重ねたものが膨大に収録されています。その他にも既存サンプルのクオリティー修正や収録カテゴリーの追加、さらに使いやすいように細分化などがされています。収録内容の解説やフォーマットの説明、使い方の説明などのインナーも新たに追加しました。 そもそもこれらの大幅なバージョンアップは今回シスコさんからお話を頂いたので実現したものなんです。ずいぶん前からお話を頂いていたんですが、それならばと言う事でわがままを言ってお時間を頂き今回の大幅バージョンアップになりました。結果的に最高のクオリティーになったと思います。
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— WAVELINEのドラムサンプリングCDシリーズ「DRUM
MASTERシリーズ」、「e-VINYLシリーズ」、「BITWAREシリーズ」についてご説明をお願いします。 |
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「DRUM MASTERシリーズ」について
「DRUM MASTERシリーズ」はあらゆるジャンルの単発ドラムサンプルを「キック」「スネア」「ハイハット」とタイトルごとにわけてそれぞれ3000サンプル以上収録しています。フォーマットはWAVELINEサンプリングCD全て共通でAUDIO
CDフォーマット、AIFF+WAVフォーマット(Win&Mac用CD-ROM)、AKAIフォーマットの3タイプがあります。お客様には発売時からその膨大な収録数と豊富なバリエーションに驚かれました。収録サンプルのクオリティーや機能性、お求めやすい価格などからも大変ご好評頂きまして、現在まで数多くのクリエイターの方々にご愛用頂いております。
「e-VINYLシリーズ」について 「e-VINYLシリーズ」はローファイな音の質感に特化した単発ドラムシリーズです。アナログレコード盤のチリチリとしたノイズ混じりの音やアナログテープ独特の質感を持った音、各種の古いビンテージ機器を使ったもの、チープなカセットテープを酷使した音など、あらゆるタイプのローファイ系ドラムサンプルを大量に収録しています。ビンテージテープエコー「ROLAND
RE201(SPACE
ECHO)」のテープエコー部分をローファイコンバーターとして使って、音が劣化していく過程を段階的に収録したものや独特なスプリングリバーブを通した音など珍しいものも収録しています。
「BITWAREシリーズ」について 「BITWAREシリーズ」はロービットな音にこだわったかなりマニアックな単発ドラムシリーズです。一部で定番の8ビットや12ビットサンプラーや中には4ビットのものなど、大量のロービット、ローファイサンプラーや様々なビットコンバーター、古いビンテージコンピューターのサンプリング録音機能、チープなキーボードに付属されている簡易サンプリング機能、海外製の子供用おもちゃサンプラーまで、あらゆるロービット機材を使った個性的でちょっと珍しいドラムサンプルを膨大に収録しています。 これらのロービット機材に特徴的なのは機材スペックの制約上「エイリアスノイズ」と呼ばれる折り返しノイズやデジタル変換時の誤差で生まれるノイズがどうしても発生してしまうのですが、その音が逆にザラザラ、ジャリジャリした独特の汚れた音色になってものすごくカッコいいんですよね。こういう音は耳の良い海外のヒップホップ系の人達が真っ先に使っていましたね。もちろん経済的な理由もあったと思います。クリアな音でサンプリングできる高級サンプラーは昔はものすごく高かったですからね。通常の機材ではこういうビットノイズは出ないようにしていたり、なるべく目立たないようにカットするフィルターが元々入っていたりするものが多いのですが、一部の機種や古い機材、チープな機材、安いおもちゃのようなものは意図的だったり、開発予算上の制約だったり、そこまで気が回らなかったりと色々な理由のせいか、そういうビットノイズが丸出しでそれが逆にすごくカッコいい音になるんです。開発したメーカーの人にとっては迷惑な話だと思いますが、そういうノイズをさらに強調したり、色々な質感のノイズがたくさん出るようなセッティングをわざわざ探して使っています。基本的にこれらの2シリーズに収録されているようなノイズは、より音楽的なノイズ、音楽的な音色の一部だと思っています。
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— ローファイな音の魅力について |
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最近の制作現場の環境はすっかりフルデジタル、ノイズレス、高ビット高レート環境が整っていますが、たまにホコリをかぶった昔のカセットテープの音を聞いたりすると、ものすごく音がよくて驚くというか感慨深いものがあったりするんです。古いチープなカセットMTRの音などもそうですね。音質的にはS/Nが悪くてヒスノイズも大きかったり、録音されている音が不安定でよれていたり、ちょっと歪んで潰れた音になっていたり、ラジオをエアチェックしたようなものは受信環境が悪い場合は周波数ノイズなども混じっていていわゆる音質はすごく悪いんですが、伝わってくる音の雰囲気が何とも魅力的でカッコよく感じたりするんですよね。テープエコーを使った音やロービットサンプラーの音なども、元のクリアな音より劣化して質感が変化した汚れた音のほうがなぜか惹かれるんです。
いわゆる音質は悪くても、聞えてくる音全体としての音色が魅力的なんだと思います。アナログレコード盤の音についてもあの音の心地良さや独特の質感の気持ち良さはなかなか説明ができないんですよね。よく言われる低音の豊かさや音のやわらかさ、1/fゆらぎ、可聴範囲以上の周波数レンジ云々というだけではないような気がします。可聴範囲に関しては最近のハイビットハイレート録音のオーディオがありますが聞いてみても当たり前ですが印象は全く違いますしね。そういえばジャンルによってはわざとチリやホコリをふりかけて、さらにパチパチとノイズを増やしてレコードを聴いたりするんですよね。その気持ちはものすごく良く分かります。そういう行為などは数字やスペック上の音質云々を求めているのではなくて、固有の特色を持った唯一の魅力的な音色を聴きたいからこそなんだと思います。ただのノイズが混じっただけのメディアならばとっくに歴史から消えていると思いますし、古いSP盤の熱心なコレクターの方などが今でも世界中にいますよね。話が飛んでしまいますが、今でも残っている世界各地の民族楽器などは楽音以外にわざとノイズや非楽音的な音が出るような構造になっているものが沢山ありますが、ああいうノイズも音色的な理由や音響的な理由をはじめ、長い歴史の淘汰の末に残ってきた音の形なんだと思います。
アナログシンセのサイン波などのシンプルな波形も、ほんの少しホワイトノイズを混ぜたりするだけで、ものすごく渋くてカッコいい音になったりしますし、ノイズが混ざった音には異物感や違和感のようなものと同時に、何か大きな魅力的な要素があるんだと思います。私たちが生まれてからずっと聞いている周りの環境音や現実音はノイズ成分だらけですので、もしかするとノイズが入る事で人間にとってはより自然な響きになっているのかも知れませんね。もちろん一方ではクリアでノイズレスなデジタルの音の魅力や、それのほうが良い面、必要な場面は当然ありますし、機能面の利便性や新たな刺激的な進歩も魅力的ですので、古いものをノスタルジー的にとらえるのではなく、それぞれを固有の特色を持った唯一の音色として考えています。個人的にもデジタルミキサーが発売された時、全くノイズが出ない事に感動しましたし、レコードからCDに移行した当時は全くノイズのない音に多くの方が感動したでしょうからね。個人的にも常に両極のものに興味があるので、超アナログ的なものとは正反対のソフトウェアプロセシングだけの音の世界も好きで追求していたりします。
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効果音や各種楽器など様々な種類が発表されているサンプリングCD、その中でドラムのサンプリングCDを専門に取り扱っている理由をお聞かせください。 |
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単発ドラムサンプルをキック、スネア、ハイハットとタイトルをわけて収録しているんですが、そもそものきっかけは1クリエイターとしてこういうものが必要だったというのがあります。曲を制作する時にまずリズムからつくることが多かったので、最初にきっかけになるドラムの音を探すんですが、その段階で良いものが見つからないとそこから先に進めないことがよくあったんです。締め切りや時間がせまっている時などはそこで時間をかけていられない事は頭では分かっているんですが、どうしても気に入らない音のまま仮の音でドラムトラックをつくってしまうとプレイバックの度にそれが気になって逆に集中できなかったり、結局はその後のあらゆる部分に影響があったりするんです。ベースの音やフレーズなどはキックと絡むので直接影響がありますし、それ以外のシーケンスやウワモノの音色などもドラムの音に影響されてつくられることも多いので、はじめの一手目のドラムの音色はとても重要だったんです。
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ご自身の経験からドラムサンプリングCDの必要性を感じられたのですか? |
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実際に昔あったことなんですが、楽曲がほぼ全て完成してきた頃に、仮に入れていたキックの音だけを差し替えようと色々な音を試したんですが、なかなかイメージ通りのものにならなくて、それこそあらゆるドラムマシンや音源を大量に用意したり、イメージの音になるようにエフェクトの加工も色々試したんですが全然しっくりこないんですよね。頭の中には理想の音のイメージもしっかり鳴っていて、どういう音でどういうエフェクトの加工をすればいいか、全て頭では分かっているんですが、その通りにどれだけ色々な音を試してもしっくりくるものにならなかったんです。つまり、仮に入れていたキックの細かな音色や質感、その音が持っている周波数帯、音のデュレーションやサンプルが消える時の微妙な切れ具合、そういうものに知らず知らず影響されて他の全ての音色やパートが完璧につくられていたということなんです。結局は何とか良い感じの音を見つけて完成させたのですが、たったキック1音に丸2日くらい試行錯誤してしまいました。しかも、ずいぶん経った後にあらためてその曲を聞いてみたら、やはり迷いが音からにじみ出ていて、残念ながらこれもベストではないなと実感したことがありましたね。あの時は本当に1音に苦労したので、そういう時に例えばキックの音色だけが大量にまとまっているものがあったら、サンプラーで次々と差し替えを試せたので、もっと早くもっと良いものが見つかったと思います。そういう経験から1クリエイターとしてもこれらのシリーズがどうしても必要だったんです。
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WAVELINE製品は他社製のドラムサンプリングCDと比べてかなりのサンプル数とバリエーションですが、制作時のこだわりや苦労された点を教えてください。 |
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サンプル数が膨大ですので、どうしても制作に時間がかかりますね。しかも制作中には結果的に商品に収録されたサンプル数の何倍もの録音やエディットを繰り返していますので、制作過程で扱うファイル数は本当に膨大になります。単純に1ファイルずつ個別の細かい修正をするだけでも相当の時間がかかりますし、最終段階近くになると、あらためて制作中の全ての音を何度もモニターチェックして厳選したり、さらに細かくエディットし直しますので完成までの道のりはかなり長いんです。1度OKを出したものの完成直前に納得がいかなくて、結局もう一度録音からやり直したものなどもあります。ローファイ、ロービット系のシリーズでは色々な機材やセッティングを試しているうちに、なるべく状態の悪い機材をわざわざ探して使ったりしているんです。通常はなるべく状態の良いものを探すんですが、状態が悪いがゆえに「音がカッコいい」ものをいつも探しています。
求めている音よりもキレイすぎたり面白みがないと感じた場合は、中身を改造したりテープやヘッドに色々な細工をしたり、チープなキーボードや海外製の子供用のおもちゃサンプラーなどを使用したものは、わざと電圧をいじってまともに動くか動かないかのギリギリの状態にして使ったものもあります。以前使っている最中に偶然電池が切れかけていたらしく、波形が壊れて今までに聞いた事のない面白い音になったことがあるんですよ。不安定にさせることで通常の音とは違う音、エラーのようなものを意図的に発生させたりするのが目的でこういう使い方をしています。こういうマシンのバグやエラーのような部分、製造したメーカーが意図していないようなイレギュラーな使い方をした時の音というのは、クリエイターにとってものすごく刺激的だったり、新たなインスピレーションを受けたりする事が多いんですよね。普通じゃない部分に惹かれるというか、他と違うからこそ独自性や良さが光るんだと思います。
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どのような基準で商品のラインナップを決定しているのでしょうか |
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商品開発中に一番大事にしている事でもあるのですが、常に使うクリエイター側の目線で全てを判断し、決定して商品開発を進めていくことにしているんです。昔仕事の関係でよく楽器メーカーの方が新製品のデモにいらっしゃる事が多かったのですが、楽器を開発して送り出す側と、それを使う側との間でかなり意識のズレを感じていたんです。
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— クリエイターとの意識のズレとは? |
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90年代中頃にさしかかる頃だったと思いますが、それ以前からテクノやハウスをはじめとするクラブミュージックの音が本当に刺激的で面白くなっていて、そこではアナログシンセが多用されていましたし、実際に自分の周りの制作現場でも古いアナログシンセがメインで使われていたんです。MIDIがついていないような古いものでもわざわざコンバーターを使ったりMIDI改造したりしていました。そこで楽器メーカーの方には何度かアナログシンセサイザーの音色の良さの部分と、直感的にすぐ音をエディットできるツマミやスライダーなどの必要性、各パラメーターをすべてコントロール可能なMIDI対応などの要望を熱心に伝えていたんですが、あまり反応が良くなくて、そういうタイプのものは今ではもうあまり必要とされていないのではと言われたり、その後も話があまり噛み合わずこちらの要望を理解されないことが多かったんです。もちろん製造コストの問題や当時のDSP性能の問題などもあったとは思います。 ところがその後メディアで頻繁にクラブミュージックが流れ出すようになって各クリエイターが大々的にとりあげられたりするようになり、楽器の世界でも大きなアナログシンセブームになったんですよね。それからしばらくしてスウェーデンの全く無名のメーカーがDSPを使ったバーチャルアナログシンセサイザーを発売したんですが、それが完全に求めていた理想通りのシンセサイザーだったんです。結局これは後に世界中で大ヒットするモンスターマシンになりましたが、あの時日本の楽器メーカーの方に要望したシンセそのものでした。
それ以外にも当時は必要性を理解されませんでしたが、現在では世界中の楽器メーカーから続々と発売され定番になっている制作ツールなどもありますので、これらの経験からWAVELINEで商品開発を進める過程で、この方向性で良いのか、何が本当に必要なのかを迷った時には、常に実際に使うクリエイター側の視点や目線に戻って「今求めているもの」「今必要だと感じている事」を全ての基準にしています。
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WAVELINEのサンプリングCDを購入されるお客様は音楽制作者が多いのでしょうか、DJをされている方はあまりいないのでしょうか |
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もちろんDJをされている方もたくさんいらっしゃいますよ。当商品を使う際にDJミキサーとの機材セッティングについてのお問い合わせを頂いたりもします。DJが専門の方でもトラック制作に興味があってこれから本格的に制作してみようと思っている方や、実際にコンピューターやサンプラーなどを使ってご自分で制作している方も多数いらっしゃるようです。逆に音楽制作がメインのクリエイターの方でもアナログレコードやターンテーブルを機材セットに組み込んでいる方も多いと思いますし、実際にプライベートでDJなどをしている方も多いのではないでしょうか。
当商品は内容や質感などがどちらかというとクラブミュージック寄りのラインナップや表現になっていますので、DJ的なセンスとDTM的な音楽制作の両方が融合しているお客様も多いのではと思います。クラブでDJをして曲のアイデアを自分の音楽制作のほうにフィードバックするというような方法もかなり一般的になりましたよね。またDJの方が自分で制作したトラックをクラブで流してみて、実際にフロアでの音の鳴りやお客さんのリアクションなどから、さらに曲を修正していくといったこともよく聞きますね。
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どのような方がプロの現場でWAVELINEのCDを利用し、実際にトラック制作をされているのでしょうか。 |
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これまでたくさんのアーティスト、クリエイターの方々からご注文を頂き大変光栄に感じております。しかも各分野のトップの方々などからもご注文を頂きまして大変名誉な事だと感じています。一例を挙げさせて頂きますと、日本を代表するR&B系歌姫の曲を制作してきたクリエイターの方々や、日本のテクノ、クラブミュージックシーンを牽引してきたアーティスト、クリエイターの方々や、DMCでワールドチャンピオンを獲得したターンテーブリストの方からも直接ご注文を頂きました。その他にも多くの有名なTVドラマの音楽や映画の音楽を作曲されている音楽家の方や、有名CMの音楽を多数制作している音楽制作会社様、有名音楽スタジオのエンジニアの方、ヒップホップ、テクノ、ハウス、レゲエ、ダブなど多くの音楽レーベル様、また多数の作曲家、アレンジャー、マニピュレーター、エンジニアの方々など、まだまだ挙げきれない程多くの方々にWAVELINEをご利用頂き大変光栄な事と感じております。個人的にも作品やクリエイターとしての活動をリスペクトしているような方々ばかりでしたので感激しております。 また国内だけでなく海外のクリエイターの方々にもご利用頂いております。今のところアメリカ、ニューヨーク在住の方が多いですね。ニューヨークではどこの店で買えるのか、というお問い合わせもよく頂きます。それとイタリアからイタリア語のご注文メールが届き、ユーロで支払いたいがどうしたら良いかというお問い合わせを頂いたこともあってびっくりしました。今現在WAVELINEのホームページはすべて日本語のページしかないのですが、おそらく英語の商品タイトルやジャケット画像、試聴用デモなどをお聞きになってご注文頂いたのではないかと思います。この時は大変光栄な事だと感じましたね。
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DJとして活動されている方もトラック制作に興味がある方が多いと思います、WAVELINEのサンプリングCDを活用するコツを教えてください。 |
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まだトラック制作をしていないDJの方でもサンプラーなどを1台用意してどんどん音楽制作をして欲しいですね。基本的にDJプレイの曲構成や流れを瞬時に組み立てながらミックスする行為は作曲やアレンジ、ミックスやリミックスそのものですし、曲やネタを膨大にサーチしてきたDJの頭の中というのはそれ1つが1台のサンプラーや膨大なサウンドライブラリーのようなものだと思いますので、あとは制作用の機材などを用意をして、できればWAVELINEのサンプリングCDを使って制作を始めて欲しいです。DJの方は耳とセンスが抜群な方が多いですし、大量の曲の中から選んできた膨大な良い曲を聞いていますので、音楽制作上の常識や音楽理論などよりも、DJならではのセンス全開でトラック制作をすればオリジナリティーのある独自のものがつくれると思います。 制作はまずドラムのトラックだけでもいいと思いますし、かっこいいドラムのトラックさえつくれれば、というかそれが一番難しくて重要だったりしますが、それだけで十分人を惹きつけられるものができるのではないでしょうか。DJをしている方ならある場面ではドラムのみのトラックが欲しかったり、渋いリズムトラックに少しだけウワモノや声が乗っているだけのミニマルなほうが、太い存在感があって逆にものすごく耳をひかれる場面などがありますよね。ダンス系のクラブDJの方ならそれこそリズムトラックの音色や音圧感やグルーブは一番重要でしょうし、色々な場面や環境で音を聞いていて耳も肥えていると思いますので、DJとしてのセンスや経験を最大限に発揮してそれを武器にした、他の人にはつくれないものがつくれると思います。
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また、すでにトラック制作をしている方へWAVELINEのサンプリングCDを活用するコツをお願い致します。 |
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これは先の質問の中でお話したエピソードと関連するのですが、曲がある程度固まった後で音の差し替えを試していく制作方法の場合、ほとんど完成が近くなった制作中の曲をあらためて再生しながらキックやスネアなどのサンプルだけを順番に入れ替えて聞いてみると、思わぬマジックが起こることがよくありますね。キックやスネアなどそれだけを単体で聞くとそうでもないのに、曲全体の中で鳴った時に他の楽器の音色やパーカッションなどの音色との関係で、こんなにばっちり曲にはまるサンプルがあったのかと思うような理想的な音や、それまでの曲の雰囲気とは違った、何か別の新しい方向性が醸し出されてくるような刺激的な音の組み合わせを発見できる事があります。ある箇所のある部分で一瞬だけベースとキックのピッチが干渉しあって、奇跡的なハーモニーというか気持ちの良い不協和の響きが生まれたりすることもあって、ドラムに限らないんですがこういうものはなかなか前もってつくったり計算できない部分だったりするんですよね。こういう何度も試行錯誤をしたトライ&エラーの末に偶然出現する音の奇跡のようなことは、クリエイターの方なら何度か経験しているんじゃないかと思います。その1音を変えただけで曲自体がものすごくカッコ良く激変する事もあったりしますので色々と試してみると面白いと思います。
WAVELINEサンプリングCDは基本的に各サンプルの音量や小さいスピーカーで聞いた場合の聴感上の音量なども極力そろえてありますので、次々サンプルを入れ替えた際にも再び音量を合わせたりする作業が少なくなっていると思います。もちろん最初にこれだと思って選んだ珠玉のドラムサンプルを元に、その音を生かすように1から全てをつくりあげていく場合でも、その1音をぜひWAVELINEのドラムサンプルから見つけて欲しいと思います。
# DRUM MASTERシリーズ
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*WAVELINE代表
yamamoto
Profile | |
大手ソフト制作会社のサウンド制作開発課に所属し、現在も全世界で累計1千万本以上の大ヒットを続けているシリーズの歴代音楽を担当。その他、国内向け、海外向け問わず多くのビックプロジェクトの音楽を担当。作曲、アレンジ、プログラミング、エンジニアリング、最終マスタリングに至るまですべてを手がけた。その後独立、2003年にWAVELINE設立。クリエイターとしての数々の楽曲制作のほか、個人的に造詣の深い音楽ジャンルは多岐にわたり、初期電子音楽からクラブミュージック、現代音楽、音響、エキゾ、モンド、ダブ、世界中の民族音楽、純邦楽、ボサノバ、ジャズ、クラシックなど、あらゆる音楽を愛するコレクターでもある。
WAVELINE Web
Site
https://www.waveline.jp/ |
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